ぼっとん便所

汚い内面 洗われろくそ

高度情報処理技術者試験はハイレベルな戦い ~ 尿を切りながらリズムを取る男 ~

10月初旬にDBスペシャリストという資格試験を受けに行ってきた。
その時のお話。

プロローグ

DBスペシャリスト前日、お腹がすきすぎて眠れそうになかったので欲に負けて夜中2時くらいに卵かけご飯を食べた。
気づいてはいたが、消費期限が2日過ぎた生卵だったためさすがに火を通さないとまずかったらしく、
強固な自分の腹でも食べたその瞬間からギュルギュルとお腹が鳴り始める。

「まあ、空腹時にご飯を食べると腹の音が聞こえることもあるし、最悪明日正露丸飲めば大丈夫やろ」の気持ちでいた。
空腹が満たされたのでさっさと床についたが、その晩は腹の調子が微妙で眠りが浅かった。

午前1次試験__腹痛なんて怖くない!だって正露丸があるんだもん。

そうして迎えた翌日の朝、想像通り腹痛を感じながら目が覚める。

「お腹やばいかな?」と思ったが、試験時間に間に合わない可能性があったので大急ぎで身支度をすませ、正露丸を飲み家を出た。
走ってぎりぎり電車に間に合い、その電車は試験会場に時間にゆとりをもって到着できるものだった。

午前1次試験が免除でなければ受験費をパーにするところだった。

とはいえそんな中でも安心してられず、朝からの腹痛なのか、運動不足で走ったことでの腹痛なのかよくわからない体調不良に襲われながら電車に揺られていた。
それでも何もないところが自分の体の強いところである。

不安になりながらも無事に会場についたので、トイレに駆け込み、踏ん張る。
試験場の開場まであと10分というところなのに、腹痛はあるが便意がない状態に陥る。 たまにあるけどなんだこれは。うっとおしい。

一旦諦めて会場周りをふらふらしていたら、ちゃんと便意が来たので試験前に脱糞することに成功した。

「よし。これでこれから続く6時間近い試験を乗り切ることができる!」

そう思ったのもつかの間、高度情報処理技術者試験は簡単に安心できるような試験ではなかった。

午前2次試験__試験は己との闘い?

自分は午前1次試験が免除されているので、午前2次試験からの試験参加となる。
体の悪いものを出し切った私は爽やかな気持ちで席に着く。

筆記用具に忘れ物は無く、受験票には綺麗に取られた写真も貼られている。目薬も持った。
コンビニで大量の糖分も購入してある。

こんな完璧な状態なのに、席に着いた瞬間から感じていたとてつもない違和感がそこに2つあった。

1つはサラサラロン毛のお兄さんが右目の前にいたこと。
自分もくそロン毛であることから、そのお兄さんの綺麗な顔に全然似合わないサラサラちょい禿げロン毛が気になって仕方がない。

もう1つは目の前のおじさんがとても臭い。
生乾きの匂いと、電車ときどき香る汗臭い匂いを足したような香りがする。
この芳醇な香りは、大学の友達が毎日同じ服を着ていたときにしていたもので、それ以来の体験だ。

そいつが大学を留年したこともふと思い出しそうになるが、意識的に抑え込む。

精一杯慣れようと鼻で呼吸を続ける。
久しく嗅ぐその匂いに圧倒されて私は鼻から汗を流す。
鼻汁が出ても、視覚的なノイズが気にならないように下を向き続けるしかない。

試験が始まったからといって、その特殊な環境が落ち着くわけではない。
「試験中に鼻をすすっている人間は皆こういう気持ちだったのか。」とふと思う。

そして普通に難しい4択問題。

奈良に住んでいた過去もあり、大仏のように温厚な自分ですらイライラが止まらない。
ついでに腹痛がまた舞い戻ってきてしんどいしんどい。

湧き上がる様々な感情を抑え、自分の答案に集中する。

気づけば鼻水は止まり、匂いはもう感じない。
「精神的加害なんて、自分次第でどうやり過ごすことだってできるのだな。」

高度情報処理技術者試験の午前第二次試験は、己と向き合うための精神的な試験だったのである。

午後1次試験__止まらぬ精神攻撃!負けるなら道連れだ。

匂いに完全勝利した自分は、もうこの試験会場に恐れるものはないと思った。
もはや匂いに全く臆することもなく、昼食を食べ戦士の休息をとる。

とはいえ忘れてはいけない腹痛の件。
緊急性が高いわけではないが、気が緩んだら肛門も緩んでダムが決壊しかねない状況にあった。

用心深い自分はトイレに向かう。

3階のトイレが混むことを知っていた賢い自分は、あえてエスカレータで4階のトイレに向かう。
この判断が今日一番の過ちだった。


予想外なことに、同じ考えをする人が多かったためか4階も超満員となっていた。
自分はうんこをしたかったものの、一旦は小便をして別の階のトイレに向かうことを決めた。

「あんまり溜まってないから、踏ん張らないと尿も出ないなぁ」

そんな悠長なことを考えていると、後ろから聞こえる嗚咽嗚咽嗚咽。

自分はかなりの嘔吐恐怖症である。
1回目の声が聞こえた瞬間から震えと汗が止まらない。

急いでこの場から立ち去りたい!

そう思い「早くおしっこよ出ろ!」と神様に願う。
体に水分が溜まっていないので力まないと出ない。

嗚咽嗚咽

焦って腹部に力を入れる。
尿が出たのは良かった。

「危ない!!!」

おしりからも液体が噴出しそうになる。
咄嗟におしっこの勢いを弱め、体制を整える。

嗚咽

尿を切ることもせず逃げるようにその場から立ち去る自分。
おしりは濡れていない。
大丈夫だった。なんとかこの修羅場を乗り切った。

この日、最大の敵がこの嗚咽男だった。
自らの身を犠牲に他者を陥れるなんて、とても同じ人間とは思えないテロリストだった。

何とか逃げることに成功した自分は、泣きそうになりながら4階のトイレを離れて1階のトイレに向かう。
「よかった。こっちには嗚咽男がいない。」

水っぽいうんこを出し切り、恐怖で高鳴る気持ちを落ち着ける。

「色々と危なかったけど乗り切った。」
「でもこの後の試験で頑張れる気はしないなぁ。」

午後1次試験開始まであと10分といったところ。
そろそろ試験会場に戻らなければならない。

憂鬱な気持ちを抱えたままエスカレータで試験会場に戻る。

エスカレータで前に立つ男が、がに股でなにやら上下している。
どう見ても、おしっこ終わりに尿を切るときの動きだ。
さっきのトイレで見たから間違いない。

でももちろんズボンは履いている。

「今日は変わった人にたくさん会うなぁ」
そう思ったのもつかの間。

その男が片手を耳に当てながら、もう片方の手で突然指パッチンをし始めた。

尿を切りながらリズムを取る男

滑稽で、それでいて見るもの誰に対しても楽しみを分け与える。
そんな彼を見て自分の心が安らいだことは間違いない。

凶悪な嗚咽男に対抗してくれた「尿を切りながらリズムを取る」男よ。
本当に感謝してる。

午後1次試験は普通に難しく、時間内に解き終わらんかった。

午後2次試験__苦手なあの問題

午後2試験は問題の難易度が高すぎるということもなかったが、
文章量が多く赤伝/黒伝とかいう謎概念を理解しきれずに敗北した。

知識のない状態では答えを推測することが難しい。
そんな「高度情報処理技術者試験」として良問だったのではないかと思う。

そして長い試験につきものなのが「トイレ行きたい」問題である。

試験中にトイレに行くことは恥ずかしい。
そんな気がして、こどもの頃は泣きそうになりながら自分の出口を抑えながら耐えていた。

この日も例外なく「トイレ行きたい」問題が出題される。
原因はすぐにわかった。
朝に正露丸を飲んだので体内で水分が吸収され過ぎて、利尿作用が高まったためだ。

「試験開始40分が経過したので、退室可能です。退室される方は挙手してください。」
試験管からのアナウンスだ。

この状況が一番トイレに行きづらい。
あたかも試験が終わったかのように出ていき、またすぐに試験会場に戻ってくるのだから。

さらに通常のトイレ離席と比べると、カンニングを疑われやすいことは目に見えている。

緊張の一瞬。
たまたま左通路を試験官が通る。

すぐに挙手する自分。

「そんなことマニュアルに書かれてなかったんだけれど…」みたいな不穏な空気が若干流れつつも、無事にトイレへと脱出させてくれた。

試験中にするおしっこはこの世で一番ほっとする瞬間かもしれない。

そして思う。
手を挙げてトイレに行くことが恥ずかしいと思ってた自分はもういなくなったんだな。と。

齢25歳で自分は自分の意志でおしっこに行けるようになった。
頑張ったね、成長したね。と褒めてあげた。

そんな午後2次試験だった。

エピローグ

帰りの電車に乗る。
ふと寿司を食べたいと思い、乗り換え駅で下車する。

雨が降っていた。

今日の汚かったものをすべて洗い流すかのような、綺麗な雨だった。

痛みも、疲労も、恐怖も、匂いも、排泄物も、子どもの頃のあの気持ちだって。全部だ。

「こんな気持ちになったのは、あの時以来だ。」

「この雨に名前を付けよう。」

「神様の尿切り ってね」

肥溜めブログ始める

最近何かがおかしい。

2年前、社会人になる前までは真面目に研究活動をして、新しい視点を世に広めてきた。
真面目に人よりちょっと勉強して、人よりちょっと多くは挑戦の場に立っていたはず。

ガッと本気になって何かに取り組んだ記憶もないが、定常的に作業を積み重ねられるタイプだったのでなんだかんだ成果を残して頑張ってこれた。

それが齢25になり、これまでの法則が崩れてきている。

1年間で仕事には慣れたものの、仕事は無限に振ってくるし、仕事効率が高くなっているわけでもないのに裁量の高い仕事も降ってくる。
仕事量が自分の能力に合っていない状態なのに、他人に任せればよい仕事も自分でやろうとしてしまう。
OJT担当になったところで、面倒ごととストレスの要因が増えるだけで、仕事量は変わらない(むしろ増えてやがる)。
その結果残業が多くなり、ミスも増え、仕事量の管理も自然とおろそかになって悪循環を起こしている。

資料1つ1つを丁寧に作りこんでいると思えば、それは形だけの代物で、一番重要な前提を記載忘れて全く伝わらないというこもと往々にしてある。
これは昔から自分の欠点で、適切に手を抜くことがへたくそすぎるのだ。

アメトークにて、運動できない芸人がめちゃくちゃな動きをしているのを見るが、きっと力の制御が0か100しか選べないような不器用さが原因だと思っている。
それと同じで、自分は仕事への力の入れ方を0か100にしか振ることができない(もちろん運動もできない)。

全体的に70を作ればよいところを、一番大事なところは口頭で伝えるからと綺麗にまとめず、その説明時にちょっとしか見せない資料は100の力で作る。
資料作りは局所的にはしっかり作られているが、考えが微妙に変わりながら作っていることもあり、後から見返さないとつじつまが合わない内容となっている。
そして自分は見返す作業をしないので、そのつじつまが合わない状態を頻繁に残してしまうのだ。

MTG参加者にはぎりぎり伝わるかもしれないが、後から資料だけを見返した人からはほぼ理解できないこともしばしばある。


仕事はコツコツ頑張っても、人よりもちょっと頑張ったとて勝てるわけではない。
むしろサボるべきところはサボり、注力すべきところに全力投球するやり方が効率が良く正しいとされる世界だ。
慣れるまでは 若手シャカイジン として歯をくいしばって身に付けていくしかない。

あー頑張ろう。
仕事以外でもうまくいっていないことはいくつもあるので、これから時間をかけて自分の糞みたいなところをこの肥溜めに捨てていこうと思う。